切らない子宮筋腫治療法

受診方法

受診方法

山梨大学医学部附属病院における、子宮筋腫に対する「MR装置を使用した集束超音波治療」について

 

 子宮筋腫は30歳以上の女性の20〜30%、小さいものまで含めると約半数に存在するといわれ、決してめずらしい疾患ではありません。子宮筋腫があるからといってすべて治療が必要なわけではなく、筋腫のために月経量が多くなって貧血をきたしたり、筋腫による圧迫で頻尿などをきたしたりする場合には治療が必要になります。
 子宮筋腫に対する先進的な治療として、集束超音波治療法が2004年に米国FDA (米国食品医療局) で承認され、侵襲性の少ない治療法として注目されています。当院ではMRガイド下集束超音波治療法MRgFUS (MR Guided Focused Ultrasound Surgery) を導入し、2012年7月より治療を行っております。これはMRの画像を見ながら集束超音波の焦点を体外から筋腫内に照射して、メスを使わずに筋腫を熱凝固させて壊死させる方法です。
 当院では1泊2日の入院で治療を行っております。照射に要する時間は筋腫の大きさ、数によって異なりますが、合併症を防ぐためにできるだけ3時間以内の照射にとどめるようにしています。腹臥位(うつぶせ)の状態で、点滴で水分・電解質の補給を行いながら、膀胱内にはバルーンカテーテルを留置して照射を行います。照射による疼痛を軽減させるために鎮痛薬 (坐薬や注射) を投与し、照射中は医師や看護師が全身状態の観察を行います。照射終了時に確認のために造影MR検査を行います。


治療を行うにあたり、以下に示すような一定の条件を満たす必要があります。


除外患者(治療を行ってはいけない方)
1将来、挙児を希望する患者さん
2子宮外の骨盤内腫瘤を有する患者さん
3子宮動脈塞栓術を以前受けたことがある患者さん(塞栓物質に対して、超音波エネルギーの影響が不明であるため)。
4子宮内避妊具などを装着している患者さん

 

【適応条件】
1.通常のMRI検査が問題なく受けられる(体内にMRI不適合の金属がない、閉所恐怖症でない、入れ墨がない、など)。
2.MR造影剤に対して、いかなる有害反応も示さないこと (喘息のある方は造影剤が使用できません)。
3.体重が113kgを超えないこと。
4.妊娠していないこと。
5.心疾患、脳血管障害、診断未確定の性器出血、潜在性出血性疾患、血液疾患、精神疾患、骨盤内疾患・感染症を有していないこと。
6.子宮の前方の腹壁に瘢痕(手術瘢痕など)、皮膚のしわや凹凸(お腹にたるみや段がある場合)、外科用クリップ、硬質インプラントなどがないこと(皮膚に火傷を起こす恐れがある)。
7*.子宮筋腫と腹壁の間に腸管がないこと(腸管穿孔を起こす恐れがある)。
8*.筋腫の最深部が皮膚表面から12cmの深さまでに限られる(超音波エネルギー減衰作用により、焼却に必要なエネルギーを集束できる距離は皮膚表面化から最長12cmの深さに限られるため)。
9*.仙骨・腰椎などの骨の表面から筋腫が4cm以上離れていること(仙骨の近くに走っている神経に障害を与える恐れがある)。
10*.子宮筋腫の総容量が500ccを超えないこと(治療時間が3時間以上となり、深部静脈血栓症や肺塞栓を起こす恐れがある)。
11*.4cm以上の大きさの筋腫を6個以上治療することはできない(エネルギーが減衰して焼灼できない、治療時間が長くなるなどの問題がある)。
12*.有茎性筋腫 (粘膜下と漿膜下) でないこと (治療後に遊離してしまう恐れがある)。
13*.子宮頸部筋腫や広間膜内筋腫でないこと (安全性、有効性が十分に評価されていない)。
14*.MRI T2強調画像上、高信号の (“白い”) 筋腫は血流が豊富であり、治療に好ましくない。
15*.造影MRI T1強調像で筋腫が造影されない場合 (変性筋腫) は、治療の意義が少ない。


MRgFUSを希望される患者さんは、まずはお近くの産婦人科を受診していただき、超音波検査で子宮筋腫であることを確認してもらってください (子宮腺筋症は適応外となります)。治療は筋腫による症状のある方に限られます。その際に、「除外患者」、「適応条件」についても検討していただきますが、適応条件の7*〜15*番についてはMRI検査を行わないと評価が難しいので、当院を受診後に腹臥位(うつぶせ)の状態で造影MRI検査を受けていただき、治療の適応について検討させていただきます。


かかりつけの産婦人科医師の紹介状を必ずお持ちになり、月・水・金の午前8時30分〜10時30分に当院の産婦人科を受診して下さい。 あらかじめMRI検査を受ける必要はありませんが、すでにMRI検査を受けていらっしゃる方は画像(できればCD-Rで)もお持ちください。
産婦人科外来案内

                        
                  山梨大学医学部附属病院 産婦人科外来

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